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Vol.1 LGBTQ活動に込める想いはどこから?FTM当事者が語る様々な経験談

萩本 雪季/Yuki Hagimoto

≪PROFILE ≫

19歳、大学2年生。

小中学校時代は大阪で過ごし、自分の性への違和感を覚える。高校からは心機一転、島根県の隠岐島にある高校へ進学。ここでLGBTQ、主にトランスジェンダーについて深く知っていった。そして、自分がトランスジェンダーであることを自覚、カミングアウトし、LGBTQ活動をするようになる。現在は、大学で部活や体育・スポーツの学習をしながら、このDraw The Colorの活動をしている。

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  1. 自分らしさを見出せなかった中学生時代
  2. 言いたいけど、言えない日々
  3. 自分を隠さないで生きていきたい!
  4. 自分がトランスジェンダーであることには、意味がある。

 

①自分らしさを見出せなかった中学生時代

 

LGBTQに触れたのは、中学生の時。

同じ部活だった女の子に恋愛感情を抱いたことがきっかけだった。その女の子とは友達で、部活中だけでなく、二人で遊びに行ったり、一緒に学校から帰ったりもしていて、時が過ぎていくうちに、「友達の女の子」から「好きな女の子」に変わっていった。

 

最初は「女なのに女が好きなんて、自分は世界で一人しかいない宇宙人かもしれない...。」と思い、誰にも言えず、自分でも恋愛対象が女の子だということを認めることができなかった。次第に大きくなっていく恋心に気づいてはいたものの、「女の子が女の子を好きになるはずない!」という固定概念にとらわれ、中学制時代の初恋に蓋をした。その間、告白された男の子と付き合って、デートをしたり、手をつないだりもしたが、その女の子のことを忘れることはなかった。

 

この恋心からか、自分の服装や髪型へのこだわりが強くなった。

誰からも「かっこよく見られたい」と思うようになり、長かった髪をバッサリ切って、服装もかっこいい雰囲気のあるストリート系の服を着ていた。

学校では、「スカート似合わなくなったな。」「女の子っぽくない」そんなことを言われ、部活(バレーボール)で邪魔になるから髪を切ったと伝えた。

本当の理由を言える人は、一人もいなかった。

 

こんな風に、女の子なのに男の子みたいになっていく自分が怖くなり、ある日、ネットで検索をかけた。

すると、LGBTQという言葉とトランスジェンダーという言葉にヒットした。この時に初めて、自分のような人が自分以外にも存在することを知った。

「恋愛や見た目に性別は関係ない!」

自分で自分自身を認めることができた瞬間だった。

 

②言いたいけど、言えない日々

 

中学三年生になった時には、先生に指導されるほど髪を刈り上げていた。

「なんでそんなに髪を切るの?」と聞かれることもあったが、「髪伸ばすのめんどくさい!」といってごまかした。本当のことを言いたいけど、言えない。

「自分はトランスジェンダーだろうな。でもみんなに言ったら変な目で見られるし、言わないでおこう。」

「でも、このことをずっと隠して生きていくって、なんか嫌だな。」

 

こんな思いから、自分のことを誰も知らない場所へいくことを決めた。

知らない人なら、自分のことを話せるかもしれないと思った。

 

③自分を隠さないで生きていきたい!

 

中学校を卒業し、島根県にある離島の高校へ進学。

「ここでは絶対に自分を隠さない!」「自分のしたいことをする!」ときめて入学したが、最初はそうはいかなかった。ずっと欲しかった男友達ができたが、弁当を一緒に食べていたら、「男好き」と言われ、遊んでいたら、「付き合ってるの?」と聞かれた。

男友達は「俺と絡まない方がいいんじゃない?」そう言ってきた。

 

「ゆきのことは男の子やと思ってほしい。恋愛対象も、女の子やねん。」

 

初めて誰かに自分のことを伝えた。緊張はしたが、心に合ったもやもやが消え、すっきりとした気分になった。この日から少しずつ、カミングアウトができるようになった。

 

カミングアウトをしてからの生活は、本当に楽しいものだった。

男友達と遊んでも何も言われないし、好きなタイプを聞かれても「かわいい女の子がタイプ」と堂々と言えるし、髪を切ると「かっこいいね」と言ってもらえる。

彼女ができて、筋トレをして体を大きくしてみたり、言葉遣いを変えてみたりもした。

自分の変化を怖がることもなくなった。

 

自分をさらけ出して生きることって、最高に幸せだということを知った。

 

④自分がトランスジェンダーであることには、意味がある。

 

高校三年生になった時には、「自分の経験をもっと多くの人に知ってもらいたい」「LGBTQへの偏見をなくしていきたい」「LGBTQ当事者の力になりたい」

そんな思いがあふれ、LGBTQに関心のある友達を巻き込んで、学校内で活動を始めた。

学校の制服制度での男女の区別をなくし、自由に制服を着られるように改定、学ランを着て学校に登校するようになった。他にも、校内で性に関する授業を行ったり、寮内でのコミュニティを作ったりなど、自分の経験をもとに、小規模かもしれないが、活動をした。

「ゆきがトランスジェンダーやったからできることは、いっぱいあるんや。」そう思えるようになった。

 

高校を卒業して、大阪に帰ってきた今も、自分らしく生きることには変わりない。

そしてこれからは、もっと大きい規模でLGBTQ活動を行っていきたいと思い、このDraw The Colorを立ち上げた。

「多くのLGBTQ当事者が、少しでも早く自分の色を見つけ、自分自身を認め、自分らしく生きてほしい。」

そんな思いが込められているDraw The Colorは、高校時代に一緒に活動をしていた2人の仲間と運営している。

 

これから行う様々な活動を通して、セクシャルマイノリティという言葉がない世界を作るための力になっていきたい。

萩本雪季の挑戦は続く。

 

 

※今後のインタビュー記事は、対談式の記事で掲載させていただきます。

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