小西未華/Miina Konishi
≪PROFILE ≫
20歳。フリーター。
小、中学校までは大阪で暮らし、高校は島根県で過ごし、卒業後は福島県へ。
物心がつく前からLGBTQへの悪い印象はもともとなかった。小学校時代に出会った友人、幼馴染の親友、そして自分自身の恋愛から、LGBTQに関わることが多くなっていった。
- LGBTQに触れたきっかけは、ある男友達との出会い
- トランスジェンダーの親友との日々
- 恋愛は模索中
- 相手は相手、自分は自分
- 半分当事者としてできること
- カミングアウトは、今、受け入れて貰えなくてもいい
- 当事者と非当事者が共存していけるライン
①LGBTQに触れたきっかけは、ある男友達との出会い
インタビュアー:「LGBTQに触れたのは、いつ頃でしたか?」
みいなさん:「物心つく前に親にゲイバーへ連れていかれたので、あんまり偏見がないのもあるんですが、ちゃんと感情をもって触れたのは、小学5年生の時です。かわいいものが好き!って言っている男友達がいて、周りの子は気持ち悪がっていたんですけど、私はその友達の考え方が自分にはなくて面白いなと思って、仲良くしてました。その時に私はLGBTQに触れていたと思います。」
インタビュアー:「その時からもうすでに今と変わらずにLGBTQに対する偏見はなかったのですか?」
みいなさん:「んー、正しく言うと、そのあとちょっとしてからだと思います。」
インタビュアー:「ということは、なにか偏見をなくすような出来事があったということですか?」
みいなさん:「そうですね。小学6年生の時の修学旅行で、さっきの男友達が、めっちゃいじめられていたんですよ。その子は周りの男の子とは違うことをしていたから、それを否定される感じ。でも、友達やったら守ればいいのに、私、それができなかったんです。ほったらかしにしちゃって。」
インタビュアー:「そうだったんですね、、。具体的にはどのようないじめだったのですか?」
みいなさん:「その子は髪が長くて、前髪を上でくくったりしていたので、その髪を引っ張られたりしていましたね。オネエや!っていじられてたり。すごくひどいいじめでした。このことを、中学生になってからすごく反省して、そこから完全に偏見がなくなったって感じがしますね。」
②トランスジェンダーの親友との日々
インタビュアー:「なるほど、その男友達さんはみいなさんの経験の中で、たくさん影響を受けた人なんですね。他に影響を受けた人はいますか?」
みいなさん:「そうですね、親友の影響はすごく大きかったと思います。親友は体が女の子で心が男の子のトランスジェンダーで、いままでは、こういう人もおるんやーって感じでしたけど、その親友の変化を間近で見ていると、自分もそうなるかもって自分事にも考えるようになりましたね。」
トランスジェンダーの親友との付き合いの中で、みいなさんの心情や考えは、大きく変わることはなく、人は人、自分は自分という考え方が強く見えた。
インタビュアー:「身近に当事者の方がおられたのですね。その親友さんの変化を見てきたと言っていたんですが、変化する前の親友さんはどんな人だったのですか?」
みいなさん:「親友は、いつも周りに合わせているような感じでした。自分自身に目を向けるのって、なにかきっかけがないと難しいじゃないですか。そのきっかけがその親友には中学3年くらいまではなかったと思うんです。だから、なるべく人に合わせていたし、部活やクラスの女子カーストで生き残っていかなくちゃいけない!っていう思いもあったと思うんですよ。(笑)クラスとか部活の子たちと遊ぶ時も、その子たちと会う前に服装がダサくないかチェックをしたりするくらいです。(笑)まあ、そのあと遊びに行ってディスられて、しょげて家に帰ることの繰り返しでしたけど。(笑)」
インタビュアー:「確かに、自分自身に目を向けるというのは難しいですね。では、そんな親友さんが変化しだしたきっかけはどんなものでしたか?」
みいなさん:「私たち同じ女子バレーボール部だったんですけど、親友が一人の女の子とすごく仲良くなってて、その子とずっと一緒にいるようになったんです。でも、親友がそれまで誰かとニコイチみたいな関係になっているのを今まで見たことがなかったから、あれ?って思って。あと、部活の帰り道が一緒だったんですけど、私に毎日その子の話をするんですよ。いつまで話すねんって思ってました。(笑)親友は、こんなに友達のことを好き好きいう人じゃなかったから、恋愛的に好きなんやろうなと思いましたね。私は別に、友達に好きな人ができたっていうくらいの感覚だったんですけど、親友は葛藤しているようでした。」
インタビュアー:「なるほど、その恋愛を通して、親友さんは自分が何者なのかを見つけたということですか?」
みいなさん:「完全に見つけ出したのは、高校生の時だと思います。高校は寮だったんですけど、その時同級生に結構ジェンダーレスの子が多くて、その人たちの影響もあって、親友もどんどん変わっていきました。一番記憶に残っているのは、親友が中学生の時のあの女の子のことを好きだったんだと気づいた瞬間ですね。なんか、漫画でよく見る覚醒した瞬間みたいでした。(笑)」
インタビュアー:「みいなさんは親友さんの恋心に気づいていたからか、親友さんの覚醒なのに、平常心のように感じます。親友さんがトランスジェンダーであるということは、いつ頃気づいたのですか?」
みいなさん:「はっきりトランスジェンダーなんや!って思ったのは、カミングアウトを受けてからでした。それまでは、親友は男の子とも付き合ったりしていたので、どっちもいける人って思っていました。LGBTQっていう言葉もあんまりはっきり知らなかったし。」
③恋愛は模索中
インタビュアー:「なるほど、なんとなく感じていたということですね。ここまで親友さんのことを話してもらいましたが、LGBTQを自分事のようにとらえるきっかけとなった出来事などはありますか?。」
みいなさん:「私は女の子を好きになったことがあって、でもそれまでは男の子が恋愛対象で、きっかけとかはわからないんですけど、その子がすごい思わせぶりやったんですよ。(笑)ちょろい女なんで、それを真に受けて、気づいたら恋愛対象になっていました。(笑)それがLGBTQが自分事になった瞬間です。」
今回、非当事者枠でインタビューを受けていただいたが、みいなさんは同性に恋をしたことがあるということを告白し、堂々と胸の内を明かしてくれた。
インタビュアー:「ということは、男性も女性も好きになった経験があるということですね。では、男性を好きになっているときと女性を好きになっているときで違いはありましたか?」
みいなさん:「なんか、女性を好きになっているときは、安心って感じで、男性を好きになっているときは、情熱?って感じです。(笑)」
インタビュアー:「女性はエスコートしたいけど、男性はエスコートしてほしいというような感じですか?」
みいなさん:「それです!」
インタビュアー:「なるほど、感覚的にはどんな違いがありますか?」
みいなさん:「んー、私、自分から恋をすることがあまりないんですけど、その女の子を好きになった時は、吸い寄せられるような感じで自分から好きになりましたね。その子は彼氏がいて、可能性はないって思ってても、勝手に足が走ってる感じです。(笑)」
インタビュアー:「その感情は男性には思わなかったのですか?」
みいなさん:「んー、思わなかったです。(笑)そう思うと、自分ってちゃんと恋したことあるんかなって思いますね。(笑)」
インタビュアー:「男女で変わる感情じゃなくて、その人に対して思っている感情ということかもしれませんね。」
みいなさん:「んー、いや、自分でもどっちなのかわかってなくて、女性を好きになったのはその一回きりだし、今はもう男性ばっかりで、でもこの先また女性に恋をするかもしれないし…。よくわからないですね。(笑)」
インタビュアー:「なるほど。模索中ですね。では、男女関係なく、好きになった対象に思うことを教えてください。」
みいなさん:「私は、愛しさとか愛くるしさを感じます。ある程度仲良くて、恋愛対象に入る人にはそう感じます。」
④相手は相手、自分は自分
みいなさん:「ここまで、恋愛についてたくさん聞かせてもらいましたが、それを通して、LGBTQに対して変化した自分の考え方などはありますか?」
みいなさん:「んー、あまりないかもしれないです。もともと備え付けられていたって感じがしてて。」
インタビュアー:「なるほど。僕の周りには、LGBTQに偏見を持つ人が多いのですが、みいなさんの周りには、理解してくれるような方はいますか?」
みいなさん:「んー、私は女の子を好きになったことがあるってことを隠さないので、本人以外は。(笑)その話を久しぶりに会った友達とかにぽろっとしたりすると、そうなんやーくらいで受け止めてくれるんですけど、実際に私が女の子と付き合っている姿とかを見たら、また違う反応なのかなとは思います。」
インタビュアー:「では、今後その女の子を好きになったことがあるということは、ある程度の仲がないといえない感じがしますか?」
みいなさん:「いや、私は言えますね。(笑)あまり周りに何を思われるかとか気にしないので。しかも、それを自分が言わなかったら何も変わらないし、何も進まないと思います。まずは、自分が嫌われても相手は相手の人生やし、自分は自分なので、開示してみるってことが大事やと思いますね。」
⑤半分当事者としてできること
インタビュアー:「とてもいい考えですね。かっこいいです。では、LGBTQについて行っている取り組みなどはありますか?」
みいなさん:「自分の目に入るところにあるような活動には協力していきたいと思っています。自分から何か起こすというか、あるものに参加する感じですね。」
インタビュアー:「では、協力以外で、将来自分がこうしていきたいこととかありますか?」
みいなさん:「私は将来、子供の養育的な部分で仕事をしたいという思いがあって、これからLGBTQに関わる子供たちが増えてくると思います。半分当事者みたいな人間ですし、仕事の中で、そういう子たちを受け入れてあげたり、全体としては、小さい時からLGBTQへの偏見がないように教えてあげたり、そういうことをしていきたいです。」
インタビュアー:「最近、LGBTQの子供に対するいじめ問題などがありましたが、子供のころから偏見をなくすというのは、どのようにして教えていくと良いと思いますか?」
みいなさん:「子供だから、はい!今日はLGBTQについてのお話です!っていう感じではなくて、日常に取り入れて教えていくことがいいと思います。こういうのもあるよね~これはこれでいいよね~っていう感じの、肯定するみたいな。言い方が怖いけど、洗脳というか、刷り込ませていく感じがいいと思います。これは悪いことじゃないんだってことを日常の些細なところで伝えていけると思うんです。人の中にあるすべてのことには、親の考え方とか他からの何かしらの影響で価値観とか考え方が入りこんでいるから、そういうところに自分が働きかけられたらいいんじゃないかなって思います。」
⑥カミングアウトは、今受け入れてもらえなくてもいい
インタビュアー:「活動についてお聞きしましたが、もう少し規模を小さくして、今自分が当事者に対して心がけていることなどありますか?」
みいなさん:「んー、心がけではないかもしれませんが、LGBTQに対していい印象を持っていない人がいるとき、その人にあえて女の子を好きになったことがあるってことを言うようにしています。(笑)」
インタビュアー:「その人達は、どんな反応をしていましたか?」
みいなさん:「そんな拒否反応はしてなくて、そ、そうなん?!みたいな感じです。(笑)びっくりはしていたけど、仲は良かったし、LGBTQにいい印象がなくても、みいなはみいなや!ってことをわかっていたから、私のことを受け入れられたのかなと思います。」
インタビュアー:「受け入れてもらえないかも、というような恐怖心はなかったのですか?」
みいなさん:「んー、なんか人生楽しんでる人とかに人ってあこがれるじゃないですか。そういう感じで、仲が良くて、こういう生き方いいなって思えるような人だったら、今受け入れてもらえなくても、いつか受け入れてもらえるんじゃないかなっていう希望があって、それで受け入れてもらえなかったら、その人とは縁がないっていう感じでもいいんじゃないかなって。」
⑦LGBTQ当事者と非当事者が、互いに共存していけるライン
インタビュアー:「なるほど。前向きな考え方ですね。それでは最後に、このインタビュー記事を読んでいる方に伝えたいことはありますか?」
みいなさん:「んー、当事者の方には、こういうLGBTQ活動をしているコミュニティとか団体に話せるという環境ができると良いと思います。LGBTQへの理解がない人、受け入れられない人たちには、LGBTQを受け入れられないなら無理に受け入れなくていいと伝えたいです。世界中の人がみんな理解してくれていたら、それはそれで宗教的な感じがして変だし。(笑)だから、受け入れられないと思うなら、LGBTQに関わらずに、離れて生活するのもいいと思います。カミングアウトをされた人は、まず、自分は否定していないよっていうことを伝えて、そしていっぱい質問してあげることが大事だと思います。自分のことを聞いてもらえることは、相手にとってすごくうれしいと思います。当事者も非当事者も、LGBTQに関わる人も無理!っていう人も、受け入れてもらうことが全てじゃないし、受け入れることが全てじゃない、お互いが共存して生きていけるラインを探すことが大事で、私は、これはお互いが理解しておかないといけないことだと思います。」
最後まで、笑顔を絶やさずに語ってくれたみいなさん。
LGBTQが自分事になっても、動揺せず、カミングアウトを続けていく強い姿勢が見えました。
インタビューを受けてくださり、ありがとうございました。
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