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Vol.4 男か女かなんて、選ばなくていい。私はⅩジェンダーです!

涼/Ryo

《PROFILE 》

43歳。

出身は大阪で、ボーイッシュな女の子として幼少期を過ごす。恋愛対象が女の子だったこともあり、自分の性について考えるようになった。社会人になってから、Ⅹジェンダーを自覚。現在は東京でエクシスというアパレルブランドの経営やLGBTQの方が集まれる交流会などの活動をしている。

《 MENU 》

  1. 幼少期はボーイッシュで、友達は女の子ばかり
  2. 学生時代は自分をオープンに
  3. 自分って何なんだろう
  4. 外に出て、LGBTQを知る
  5. 私はⅩジェンダー
  6. この人みたいになりたい!という憧れが、自分を変えた。
  7. 私にとって、心地いい人。
  8. ボクサーパンツ、自分で作っちゃおう!
  9.   素敵な人と出会うことは、何かが変わるきっかけになる。

①幼少期はボーイッシュで、友達は女の子ばかり。

 

インタビュアー:「LGBTQのことを考えていなかった時期のりょうさんについて教えてください。」

 

りょうさん:「ボーイッシュで今より髪ももっと短くて、刈り上げていました。自分のことを俺と言ったりしていて、スカートは履かないし、半ズボンを良く履いていましたね。中学の時は3年間ソフトボールをしていました。それで日焼けしていて肌は黒かったです。まあ活発な女の子でした。」

 

インタビュアー:「では、中学や高校での制服などでスカートを履くことは嫌でしたか?」

 

りょうさん:「嫌やなーとは思いました。スラックスもないし。でもそんな吐くほど嫌とは思わなかったので、スカートを履いていました。」

 

インタビュアー:「ボーイッシュだったといっていましたが、友達は男の子が多かったのですか?」

 

りょうさん:「いや、それが、私男の友達が一人もいないんです。今も。(笑)男の子と一緒にいても違和感があるし、女の子といても違和感があるんです。

 

インタビュアー:「それは性別で人を見ていないということですか?」

 

りょうさん:「んー、そうですね、でも多分、私自身男性が苦手なんだと思います。ゲイの友達とかならいいんですけど、性的思考が自分に来るかもしれない男性は苦手ですね。なので女の子といることがほとんどでした。」

 

②学生時代は自分をオープンに。

 

インタビュアー:「なるほど。では、学生時代の恋愛について教えてください。」

 

りょうさん:「恋愛としてこの人いいなって思った人は100%女性だったので、なんとなく行動で好きということを伝えたり、大学生になってからは告白したりもしました。とても好きな女の子がいて、自分もボーイッシュだったから、周りから付き合ってるんじゃないって言われることもあって、そうみられることにうれしいなと思ったりしてました。まあ、結構オープンにしていましたね。」

 

インタビュアー:「自分の恋愛対象が女性だったことを学生時代に誰かにカミングアウトすることはなかったですか?」

 

りょうさん:「なかったですね。LGBTQ当事者としてのつらい思い出とかそういうのもないです。周りがあんたはあんたやっていう感じの人が多くて。」

 

③自分って何なんだろう。

 

インタビュアー:「そうなんですね。では自分の性についてしっかり考えるというようなことはあまりなかったですか?」

 

りょうさん:「そうですね。まあでも、自分って何なんだろうとは考えました。その頃はXジェンダーとかもなかったですし、自分がXジェンダーってことを知ってからの方が情報とか知識が入ってきたので、そこからの方が考えたと思います。」

 

インタビュアー:「自分とまわりが違うと感じていたことから、自分が嫌になることはありましたか?」

 

りょうさん:「中学3年生の時に、10人くらいの仲良しグループがあって、その中の1人が他の女の子たちと仲良くしているのがすごく嫌で、これって思ったらだめなやつか?って悩んだことは覚えています。」

 

インタビュアー:「それは初恋ですか?」

 

りょうさん:「そうですね。でもその頃は誰かを恋愛的に好きとかよく知らなかったので、その子に対する感情が何なのかが分からなかったです。今の自分ならその子に言えるんですけど、当時は自分のこともわかっていなかったので、この感情はすごく嫌だなと感じました。」

 

インタビュアー:「その子のことはとても印象に残っているのですね。」

 

りょうさん:「そうみたいですね。顔も名前も全部覚えています。だいぶ前ですけど質問されて出てきたということは、印象深かったってことですね。(笑)」

 

④外に出て、LGBTQを知る

 

インタビュアー:「では、LGBTQに触れたのはいつごろでしたか?」

 

りょうさん:「それは社会人になってからなんですよね。23歳くらいですかね。中高大では好きな人もいましたし、付き合ったりもしていました。相手の方はもちろん女の子でしたが、その人がLGBTQの方だったわけではなかったんです。」

 

インタビュアー:「なにかLGBTQに触れるきっかけがあったのですか?」

 

りょうさん:「職場にクラブ遊びが好きな先輩がいて、週末によく女性の先輩4人くらいとクラブに行ってました。私たちはそのクラブのドラッグクイーン(派手に女装をした男性)の方のファンで、その人のショータイムとかを見に行っていましたね。で、そのドラッグクイーンの方に誘われて、堂山(大阪市内にある町)のバーに行きました。そのお店では、レディースオンリーやメンズオンリーのイベントもやっていて、今度一人で行こうと思ってレディースオンリーに一人で行ったのがきっかけですね。」

 

インタビュアー:「どのようなイベントだったのですか?」

 

りょうさん:「女性だけのはずなのに男性のような人もいっぱいいて、その時はFTMとか知らなかったので、なんで女性オンリーに男の子おるんやろって思うイベントでしたね。でも、その後近くのミックスバーに誘われて、行ってみたら、ゲイの方やレズビアンの方、FTMの方もたくさんいて、胸オペができることとか、性別を変えることができるとか、いろんなことをお客さんとかお店の人に教えてもらって、LGBTQを知ることができました。」

 

インタビュアー:「なるほど。私のLGBTQを学ぶための手段はSNSが多かったのですが、りょうさんは当事者本人から学ぶことができたのですね。」

 

りょうさん:「そうですね。時代的にもあまりSNSが発達していなかったのもありますが、私自身がSNSやオンライン上でつながるタイプではなく、アクティブに動くタイプなので、そのおかげで、生の声が聴けましたね。(笑)」

 

⑤私はⅩジェンダー

 

インタビュアー:「では、Ⅹジェンダーということを知ったのはその生の声を聴いてからですか?」

 

りょうさん:「生の声を聴いて、LGBTQのことについては知れたんですけど、その時にⅩジェンダーを知ったわけではないんですよね。ホル注とか胸オペとか考えたんですけど、どれも違うなと思って。女性の体はいらないし、男性になりたいわけではない。そんな時にⅩジェンダーを知って、これだ!と思いましたね。女性でも男性でもないというのがしっくりきました。

 

インタビュアー:「知った時は、モヤモヤがすっきりしましたか?」

 

りょうさん:「そうですね。自分以外にもこんな気持ちの人がおったんや!と知って嬉しかったです。男か女か選べなかったけど、Ⅹジェンダーです!と言えるようになったので、周りにⅩジェンダーの方が増えていきました。(笑)」

 

インタビュアー:「それは、周りへのカミングアウトはしているということですか?」

 

りょうさん:「そうですね、でも人は選んでいます。ご飯に行ったり雑談をしたりする中で、この人には言えないな、この人だったら言えるなって大体わかるので。友達だったらだいたい話しています。言っても、そうやと思ってたって言われますけど。(笑)職場の人にも話せる人には話しています。」

 

インタビュアー:「両親にはカミングアウトしましたか?」

 

りょうさん:「東京に出てくるタイミングで伝えましたね。母は気づいてくれていました。昔からボーイッシュだったしって。まあいいんちゃう?って言ってくれました。父はびっくりしていましたね。結婚せえへんの?って(笑) でもその後、父なりに受け入れてくれました。」

 

⑥この人みたいになりたい!という憧れが、自分を変えた

 

インタビュアー:「周りや両親にもオープンにできているのですね。では、りょうさんの人生の転機について教えてください。」

 

りょうさん:「そうですね。いいエピソードとかはないんですけど、性について彷徨っていた時、Lの世界というドラマを見て、その主人公の人がすごくかっこよくて、女の人なんですけど、男らしくも女らしくもあるっていうような感じで、こんな風になりたいなと思いました。それが自分の中の転機になりましたね。それまでは、ナベシャツを着たり化粧は女の人がやるものだと思ってしなかったりしていたんですけど、そのドラマを見てからは、ナベシャツも着なくなって、化粧も必要最低限するようになりました。自分の中の価値観が、外見からガラッと変わりました。」

 

インタビュアー:「そのドラマを見てから、男性と女性という区別がなくなっていったような感じですか?」

 

りょうさん:「そうですね、自分が一番男らしさ女らしさにこだわってしまっていたということに気づきました。電車で足を開いて座る方が男っぽいとか、そういうことをすごい気にしてたんですけど、いや足開いて座ったら迷惑やんって思うようになったり。(笑)男っぽさとか女っぽさとか気にしないで行動できるようになりました。」

 

⑦私にとって、心地いい人

 

インタビュアー:「なるほど、考え方がすごく変わったのですね。では、自分を変えてくれたような印象に残っている人などいますか?」

 

りょうさん:「大学を卒業して、初会社員になった時の7個上の先輩ですかね。今でも仲良くさせてもらってて、よく二人で旅行に行ったりしてたんですけど、いつもあんたは大丈夫、人に恵まれてるんやからって励ましてくれました。」

 

インタビュアー:「とても心強いですね、周りの方々は優しい人が多かったんですね。」

 

りょうさん:「そうですね。私にとって心地いい人しかいさせないようにはしていますね。(笑)自分のことを好きじゃない人が周りにいるのは嫌じゃないですか。自分のことを好きでいてくれる人が近くにいてくれることが一番幸せですよね。

 

⑧ボクサーパンツ、自分で作っちゃおう!

 

インタビュアー:「そのとおりですね。では最後に、りょうさんの活動についていろいろ教えていただきたいです。」

 

りょうさん:「はい、私は2020年のコロナ禍にエクシスというアパレルブランドを立ち上げて、主にボクサーパンツを作っています。Tシャツとかパーカーも作っているんですけど、ボクサーパンツを作りたくて始めました。私自身ファッションに興味があって、でも下着だけは、サイズや形、デザインが違いすぎて、メンズでもレディースでも履けないというか、この悩みがきっかけで、周りの後押しもあり、自分で作っちゃおうってなりました。(笑)私以外でも同じ悩みを持つ人もいると思ったので、サイズやデザインもこだわって作りました。」

 

インタビュアー:「これからしたいと思っている活動などはありますか?」

 

りょうさん:「このエクシスをもっと多くの人に知っていただきたいし、新しいものも作っていきたいので、クラウドファンディングに挑戦しようと思っています。店舗がなくて、なかなか生地の良さとか触り心地とかを知っていただけないので、それをもっともっと広げていけたらいいなと思っています。」

 

⑨素敵な人と出会うことは、何かが変わるきっかけになる

 

インタビュアー:「最後に、このインタビュー記事を読んでいる方々に伝えたいことなどあれば教えてください。」

 

りょうさん:「私はたくさんの素敵な方々に出会って、励まされて、いろんなアドバイスをもらって自分を立ててきたので、皆さんにも誰かとつながってほしいなと思います。一人で悩まないでほしいなと思います。私は、外に出て、いろんな人がいるということを知りました。まあ嫌な事を言ってくる人もいましたけど、やっぱり素敵な人と出会うことの方が多かったです。なので、外に出て、いっぱい素敵な人に出会って、自分と同じような人を見つけたりして、一人じゃないって感じてほしいです。きっとそこから、何かが変わると思います。

 

 

冷静に、少し笑いも交じりながら楽しくお話して下さったりょうさん。

周りには優しい人が多く、好きな事を追求し、挑戦していることが伝わってきました。

インタビューを受けてくださり、ありがとうございました。

 

 

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